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デザインと自然と幾何学・科学と仏陀とインターネットと

May 25, 2009

デザインをしていると、自然を見る目が変わってくると言うか、自然の中に隠されたデザインが見えてくることが多々あります。例えば、葉っぱが生えてくる間隔であるとか、自然の中に見られるバランスであるとか、そういうのはデザインの中で黄金比(この世の中で、最も美しいと考えられている比率1:1.618)などというような形でレイアウトや寸法などとして応用されています。

また、自然を見ていると見えてくるのが数学の世界で、例えば、葉っぱが集まると草になり、それらが集まったところでは木になり、木々が集まり林になり、それが更に集まり森になり、と言う感じで、自己を形成するものが全体を形成するものとなる、フラクタル、という幾何学の概念が見えてきます。

また、仏陀が言った言葉で、「色即是空、空即是色」があります。とても簡単に言ってしまうと、色は空であり、空は色である、ということになるのですが、「色」は目に見える物質であるとか現象などに例えられ、空は目に見えないものに例えられます。これで言うと、目に見えるものは、目に見えないものであり、目に見えないものは、目に見えるものである、と言うことになります。

以前、「空の色が青かったり赤かったりするのは」と言うのを書いたのですが、これも、色即是空、空即是色の言っていることのように思えてしまいます。色とは、その分子などが持つ波長が太陽の光に反射されたもので、それを○○色として認識しているのは人間の脳です。雨上がりの空に太陽の光が差し込むと、それまでは見えなかった水の分子が太陽の光を反射し、色のスペクトラムを見せてくれ、それが私達の認識で言う虹となって私達の目の前に姿を見せてくれることになりますが、でも、それは、太陽の光が照らすことによって目に見える現象として現れるのであって、太陽の光が照らさなければ、そこに水の分子はあっても、私達は見えていないことになります。

色即是空、空即是色。
この世の中に見えている現象や物は、実は実態の無いもので、その実態の無いものが目に見える現象や物質に影響を与える。

まるで、ワイヤードの世界のようです。ワイヤードの世界は仮想世界と言われます。そこには、目の前にあるような現物はなく、仮想の世界が時空を超えて存在します。そして、その時空を超えた空間の中で、人々の思いや考えが漂い、それらが時空を超えて人々の思いや考えに影響を与えます。そこに実物のものなどはなくても、現実の世界に影響を与えます。これはまさしく、色即是空、空即是色のような世界です。

また、この色即是空、空即是色の仏教にある客観性や無の観念は、数学にもつながるものがあるようで、最近ではその繋がりが研究されていたりもするようです。「(PDF
ファイル)数学と仏教の意外なつながり by 平成15 年度新潟大学理学部・大学院自然科学研究科公開講座

あと、コンピュータでデザインをしていると、コンピュータ、つまり0と1で作るものが様々な色に表現されたり、空間が表現されたりして、デザインと数学的なものが隣り合わせになっていて面白いです。また、デザインの難しさにも直面しますが、その中で自然の中に存在する色であるとか、黄金比であるとか見ていると、自然って普通にそこにあるだけなんだけど、改めて凄いなぁ~、とか、宇宙は絶妙なバランスで作られているんだなぁ~、などと考えたりして、この宇宙は物凄いデザイン力で作られていて、1ピクセルたりともずれておらず、それは、目には見えないけれども緻密な科学で織り成された、色即是空、空即是色のような世界なんだろうか・、などと思ったりもします。

米国に、リサ・ランドール博士という理論物理学者の方が居られます。ランドール博士は、5次元空間のことで一躍有名になられた方で、その仮説は大変興味深いものがあります。(私達が暮らす世界は3次元)

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