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High Gate Village

October 17, 2004

2ブロック離れた場所に High Gate Village (居住区とショッピングモールがあるエリア) が出来つつある。このエリアにはショッピングモールと2つのハイライズ・ビルが建設中で、 ハイライズ・ビルは居住区用のコンド(コンドミニアム)である。 今その1つ目のビルが建ちつつある。私と相方は、散歩がてらに建築現場を良く見に行き、進行状況をチェックしている。ちょっと前、相方が、そこの建設現場で働いている人とちょっとした会話をしていて 聞いたところに拠ると、この1つ目のハイライズ・ビルはビルが建つ前に中国人のオーナーによって 全ての部屋が買い取られたそうだ。かなりの投資である。

私と相方がこのエリアに住み始めたのがかれこれ2年前。 その当時は Forgotten Mall とでも言えるような古びたモールと、ものすごく広い敷地の駐車場があった。 このモールが建ったのが約30年ほど前だと言うことが、そこにあったサインに書かれていた。 名前は Middle Gate Mall 。その名をとってか、このモールの近辺には Middle Gate Honda と言う カー・ディーラーもある。モールがかなり古いためか、お客も少なかった。 しかしこのモールにはビンゴ・センターがあったので、年配の方がよく来ていたようだ。

昔のモールと今のモールの画像。

昔のモール 今のモール

しかし、こんなモールだったけれど、私としてはかなり気に入っていた。 古いとは言えど、近所で唯一歩いて買物をする事が出来る場所だったし、 Super Value と Shoppers Drug Mart があったので日常生活には事足りない買物が出来るからだった。

このモール、かなり古く寂れたモールではあったが、立地条件は良かった。(と、自分で思っている。) 主要な道路であるキングスウェイ沿いにあり、スカイトレインの駅も歩いて10分の所にあった。 また、キングスウェイを車で西に10分も行けば、BC州最大の ショッピング&エンターテイメント・センター ”メトロタウン”  がある。この古いモールの周りには、 これまたおそらく30年程昔に建てられたと思われるアパートがたくさんあり、 最近ではこの立地の良さの為か、様々なディベロッパーによりタウンホームが沢山建てられている。

昨日はそのエリアで一番初めに開業した save on foods と Shoppers Drug Mart に行って来た。 初日と言うこともあってか、多くの客が集まっており、これまでの廃れたモールとは思えないほどの 賑やかさだった。私はここに根を萌している訳ではないが、なぜかとても嬉しかった。 これまで見たこともない客層の人々がたくさん来ており、これまでこのモールの一辺では 見たこともなかった若い世代のファミリーや子供連れのミドル・エイジのファミリーがたくさんいた。

沢山の人で賑わう新しく出来たモールの一角 スパイスデバイス

save on foods では、沢山の種類の香辛料、ナッツ、小麦粉、米、ブレッド・パウダーなどが 全て必要な分量だけ買えるようになったデバイスがあり、その豊富さに感動。 デバイスがスケルトンなので、中の材料の色がこれまたズラーっと並べられていると綺麗に目に映る。 小麦粉の一部には、クッキー用の粉があり、ベーキング・パウダーや、グラニュー糖、 チョコレート・チップスが既に混ぜ込まれている。そのデバイスの前には、 その粉を使って出来るクッキーのレシピが5センチ角の紙にシンプルにプリントされ、 一枚づつ取って行く事が出来るようになっている。これまた周到の良さ(?)に感動してしまった。 save on foods で働いている人も、人の多さと、初日と言うこともあってか、皆、ちょっと興奮気味のように 見えた。顧客へのサービス精神、仕事に対するやる気に満ち満ちていて、 こちらまでそのエネルギーを貰うことが出来た。

次に、隣接されている Shoppers Drug Mart に行った。建物が新しいのもあるが、 中のインテリアも一新され爽やかさに溢れている。と、目をレジカウンターに移すと、 同じ顔ぶれのキャシアー(cashier)が4人肩を並べて、これまた活気に満ちながら "Next customer, please!!" と、声をあげ、手をフリフリしている。 一番奥に立っているキャシアーのお姉さんが一番大きな声を上げ、しかも処理も早い。 と、そのお姉さんは、ミュージカル、CATSに出てくるようなメイクだなぁと常々思っていた お姉さんであった。相方にこの事を話したけれど、覚えていないと言う。 私は記憶力にはそこまでの自信は持てないが、顔覚えはとっても良い。 話した事の無い人でも、よく見かける人の顔はよく覚えている。スカイトレインに乗っていて、 ちょっと印象の強い人がいて興味を持って見た場合、次に別の場所で見ようとも、 大概覚えているのである。と、ちょっと話がずれてしまった。

このDrug Mart を歩いていると、相方が「あの彼が働いているよ。」と言う。ふと目をやると、 昔の廃れたモールの一角にあった格安ショップでキャシアーをしていた彼が、 これまた活き活きと新たな場所で働き始め、お客さんと会話をしている。 私達に気付き、彼がニコニコとこちらに近づいてきた。彼の英語にはちょっとなまりがある。 背も私と同じくらいで髪の毛も黒く、ちょっと丸っこい。多分東欧か、南欧出身だろうと思う。 "Good to see both of you!!" と彼。私達も "Yeah!!" と話が始まった。 彼のフレンドリーさは他の人とはちょっと違う。とっても丁寧で、親切で、どんな仕事にも 責任感を持って働いているし、お客さんとの会話を楽しんでいる。彼は話す時、 いつも両手を交えて話をする。その手の動かし方も彼特有である、と私は勝手に思っている。

以前、彼が働いていた格安ショップがこの新しいモールが出来ることで、閉店されることになった時、 私は彼と昔のモールの一角にあった Super Value で偶然会った。 乳製品を売っている一角で話が始まり、フリーザーの前でちょっと震えながら話していた。 彼は今回の新しい開発で、格安ショップでの仕事を失ってしまうから、 別の仕事先を探さないといけない・・・、と話してくれた。 私もバンクーバーで仕事を探すのは大変だと言う事が分かっているので、彼が早く新しい仕事先を 見つけることが出来ると良いなと思っていた。だから今回再び彼が活き活きと働いている姿を 見ることが出来て、相方と二人嬉しく思った次第だった。

モールからの帰り道、こんなに廃れたモールでも、場所と、人と、お金を投資する会社/人が 揃えば、再び日の目を見ることが出来るのだと感じた。 このエリアの開発をしたBOSA(と言う名のディベロッパー。最近はダウンタウンにも多くのコンドを 建てている。)はそういう意味で、このエリアの人達にも、そしてこの場所が存在するバーナビー市にも たくさん貢献していると思った。この開発で店がクローズされ仕事を失ってしまった人もいるし、 こうして新しい場所で新しいお店で仕事を得る事が出来た人もいる。開発が決まってから、 仕事を失うという不安を抱え、昔のモールで働いていた彼らが再び活き活きと働く姿を見ると、 この開発は多少なりともここに住む人々に影響を与え、そしてポジティブな結果を もたらしてくれているのだろうと思う。

30年前、当時は多分今と同じように賑やかだっただろうモールが、30年と言う時を経て お客も少ない寂れたモールと化してしまった。しかしまた、こうして再び活気に満ちた場所に 生まれ変わり、私としては何となく嬉しく感じた時間であった。

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